つなぐレポート

原発ゼロ・ドイツ視察(2013年)

原発ゼロ、自然を資源とした循環型社会は可能:目からウロコのドイツ視察セミナー参加の旅

浜岡原発廃炉・日本から原発をなくす静岡県連絡会 代表委員 林克

「原発ゼロ、自然を資源とした循環型社会は可能だ」、これが静岡県から出発した再生可能エネルギーのドイツ視察セミナーに参加した実感です。ほんとうの意味での視察セミナー中心のハードな日程ですが、自分と社会のための勉強になるものです。

到着した南ドイツのフライブルクは、市中心部に人があふれ市電が行き交うにぎやかな街です。人口22万人と聞いて、同規模の県内の都市の有り様を見るにつけ信じられないと感じます。経済に関して現地でたびたび聞いたのは「地域のものを地域でまわす」という考えです。

エネルギーも例外ではありません。フライブルクやその周辺は「エネルギー自立地域」と位置づけられているところですが、エネルギー自立というのは、ウランや石油などで地域の外へお金が出て行くのをできる限り抑えるという考え方で成り立っています。このセミナーを通じ、エネルギー自立地域をこの目で見て、この耳で聞いて、省エネ、エネルギー利用の高度化、再生可能エネルギーの三位一体で進められていることに目からウロコの連続でした。

ドイツ政府の計画では、現在25%(2013年推定)の再生可能エネルギーを、2030年に50%2050年に80%にまで高め、ウランや石油などの一次エネルギーを半分にして行く計画を着実にこなしており、それを地域において実際に見ることができます。脱原発であるとともに脱化石燃料であることが実感されます。

例えばフライブルク郊外のフライアムト村のラインボルトさんは、これまで飼っていた牛や豚を手放し、容量340kWのバイオガス発電施設を設置しました。牧畜時代からの飼料用とうもろこしと牧草、村内の契約農家からの牛の糞尿でガスを発生させ発電と熱(温水)供給を同時にし、肥料まで製造しています。

保守的な農村までこうした施策が浸透しているのを見るにつけ、先のドイツ総選挙において、原発ゼロ、省エネ・再生可能エネルギー推進を否定する政党はなく、上乗せ電気料金を誰が負担するかの細かい争点はあるものの、脱原発政策について大筋国民的支持が得られていることがよくわかりました。

昼はハードスケジュールですが、フライブルクでは1567年以来のこぢんまりしてこぎれいなホテルに泊まったり、郊外の料理自慢な民宿で自家製のパンや果実味のあるワインを味わえたりと、お楽しみもあります。

セミナーを終えて、ドイツにおける諸政策のもとになっている考えは「地域でお金を回す」「もったいない」ということ。これはかつて日本でも行われていたことで、科学技術が日独ではほぼ同じであることを考えれば、「ドイツにできて日本にできないことはない」と心底思いました。

林克ラインボルト風力発電

2014年1月マガジンVo.7より